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  • 執筆者の写真藻谷ゆかり

東京へゆくな ふるさとを創れ  













2019年11月20日に秋田県中小企業団体中央会主催で「事業承継を起点としたイノベーションの起こし方」について講演しました。写真にありますように「起業よりも事業承継の方が効率的」と私自身の起業・事業承継経験から実感しています。今後は、都会の若い人が地方の事業を承継していくムーブメントができればいいというのが私の主張です。平日午後の開催にもかかわらず多くの方にご参加いただき、また地元紙の「秋田さきがけ新報」にも掲載いただき、誠にありがとうございました。


桜と武家屋敷で有名な角館に観光に行ったことはありましたが、秋田市に行くのは初めてでとても刺激的な旅になりました。大学時代のクラスメートから「ちゃぶ台4 発酵X経済号」という本を勧められて秋田までの長い道中に読んでいたのですが、その中に「秋田で起きている生命の復活」という特集で、300年以上の歴史がある福禄寿酒造の復活劇について書かれていました。


一般的に日本酒に適した水は軟水とされますが、福禄寿酒造の水は硬水だったそうです。そこで水道水を使ったり他から水を取り寄せたりしたそうですが、「地元の水と地元の米で、うまい酒を造る」ことを決意して、「本当にうまい酒造り」に精進されたそうです。


「足元を見つめて、ものづくりをする」


まさに私が提唱する「地産外招」のモデルケースのような事例が紹介されていました。このほかにも秋田県の日本酒では、「新政」の復活劇も有名ですね。今回の秋田出張では「新政」や福寿酒造の「一白水成」も秋田のおいしい料理と一緒に楽しみました。


また「ちゃぶ台4 発酵X経済号」の特集では


「東京へゆくな ふるさとを創れ」


という谷川雁の詩の一部が紹介されていて、私の心を揺さぶりました。谷川雁は1970代に全共闘世代に支持された詩人・思想家ですが、この言葉は私の今の活動テーマそのものです。


この言葉は「ふるさとに戻れ」という単なる郷愁的なUターンを勧めたものではないと思います。「東京」というのは、金融資本が集まる場所の象徴であり、「ふるさと」というのは金融資本よりも社会資本であるコミュニティに力点を置いた場所であると私はとらえています。谷川雁は別の作品で、「魂の地方(プロヴァンス)と虚妄の首都(メトロポリタン)」と表現しています。


秋田県は、日本で一番高齢化率が高く人口減少率も高い県です。また県庁所在地である秋田市に県人口の約3割が集中しています。人口減少による過疎化は周辺地域からじわじわと進行していく一方で、県庁所在地には人口が集中していくのです。同様に北海道では札幌に、九州全体で福岡に人口が集中しています。


私が住んでいる長野県は、県庁所在地を長野と松本で争った歴史的な経緯がある関係で、県庁所在地の長野に人口や国立大学のキャンパスが集中せず、比較的人口が分散している県です。また長野県には人口が2万人の軽井沢町や1.1万人の小布施町のように、町のサイズは小さくとも観光地として全国的にも知られている町もあります。


東京一極集中を考えるにあたっては、各都道府県で県庁所在地以外に「魅力ある地方都市づくりが重要」と考えた秋田出張でした。


◆お知らせ◆

2019年12月12日に愛知県名古屋市で「地域を活性化するイノベーションの起こし方 地産外招」について講演します。詳しくは、以下のイベントページをご覧ください。


#事業承継 #地域活性化 #地方創生 #藻谷ゆかり #衰退産業でも稼げます





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